2013年7月4日星期四

二硫化モリブデンの使用形態と実用例


二硫化モリブデンの使用形態として最も多いのはグリースへの添加使用です。ベントナイト系やリチウム石鹸系のグリースの耐荷重性能向上目的として歴史的にも古くから使用されていますが,固体潤滑剤の側から見れば,グリースを摩擦面導入・摩擦部分への付着性確保のための媒体として使用しているとも言えます。なお,誤解のないように言えば,媒体として使用しているのでグリースの性能は関係ないという意味ではありません。それどころかグリースの性能限界で固体潤滑剤の導入性・付着性も得られなくなることから,どのようなグリースに添加するか? こそが重要な選択といえます。
いずれにしても二硫化モリブデン含有グリースの大きな用途分野として,重建機分野があります。重建機分野では,屋外の粉じんの混入など潤滑環境としては極めて厳しいため,これらのしゅう動部分では二硫化モリブデングリースが伝統的ともいえる高い評価を得ています。
これらの環境では極圧添加剤を含んだEPグリースも多用されていますが,実績として二硫化モリブデングリースが重宝されている理由は耐荷重性の発現の作用機構の違いにあるように考えます。固体潤滑剤は摩擦部分に膜を付加しており極圧添加剤のように部材表面から反応膜として進行することはない点と,固体潤滑剤は相手材を選ばないため,シリカに代表される粉じんの表面でも効果は期待できるためと考えられます。
固体潤滑剤の使用形態の次はオイルへの分散体で,エンジンオイル・ギヤーオイルに分散させ摩擦面導入・摩擦部分への付着性確保のための媒体として使用しているものです。繰り返しになりますがオイルであれば何でも良いという意味ではありません。
オイルの場合がグリースより複雑なのは,二硫化モリブデンを単純に油に添加すると比重差から簡単に沈降する点で,分散が確保されず目的のしゅう動部分まで到達できないことがあります。油中での分散方法・分散技術を確立することでオイル状の製品が開発可能となったわけですが,オイル中での分散と吸着の技術は各社とも秘密にしています。
もう一つの二硫化モリブデンの使用形態として材料中での潤滑性改善があり,摩擦用の部材に直接二硫化モリブデンの粉末を混入させる例があります。例えばブレーキ材料やカーボンブラシがそれにあたります。ブレーキ材料は高い摩擦係数を維持する反面,焼付きやすい使用条件でありその防止のため少量の固体潤滑剤を必要とします。二硫化モリブデンの安定した摩擦係数と化学的安定性が効果を発揮しています。これらのブレーキ材料は樹脂材料と各種金属粉末の複合材であり,摩擦面に固体潤滑剤をすでに導入していることから乾性潤滑の一種と考えることもできます。また,カーボンブラシには耐摩耗性向上のため数%の二硫化モリブデンが添加されています。
もう一つの使用形態として乾性潤滑被膜(ドライフィルム)があります。代表的な例としては,ピストンスカート部のコーティング処理がありますが,これは二硫化モリブデンの単体処理ではなく,PTFE,グラファイトの併用も含め多くの車種に適用されています。ドライフィルム製品とは固体潤滑剤を樹脂(バインダー)で摩擦面に保持した一種の機能性塗料であり,塗料分野と同様の技術的問題を含みます。
また,ドライフィルム製品の一形態としてオイルレスメタルに代表されるような埋め込み形の固体潤滑剤があります。この埋め込み形の潤滑剤はプレス機等に代表される製造装置のしゅう動部分などに広く使用されていますが,部材の大きさは封入が可能な大きさに限定されるため,小型の部材にはドライフィルムの方に分があるようです

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