2013年7月4日星期四

二硫化モリブデン毒性


もう一つの傾向は,環境適合性です。ただし環境問題に二硫化モリブデンがプラスとして働いているのかマイナスとして働いているのかまだ解っていません。二硫化モリブデンの人体に対する影響は,LD50で表現されますが,米国のバイオテスト研究所での毒性研究報告によれば二硫化モリブデンのLD50は16g/kg以上(体重1kg当たり16g摂取しても50%は生存する。体重60kgの成人ならば960g以上の摂取に相当)で「相対的に無害」である,と記載されています。そのため二硫化モリブデンそのものは人体に無害といってもいいと思います。なお食卓塩のLD50は5g/kg程度であり,「相対的に無害」といわれる毒性は極めて低いレベルといえます。そのため,潤滑剤の安全性という面で二硫化モリブデンは危険の少ない成分と見ることができます。(

 毒性等級一覧表
通常呼称
経口投与(ラット)
50%致死量
吸入(ラット)
4時間,蒸気暴露
死亡率2/64/6
皮膚(ウサギ)
50%致死量
極度な毒性
1mg以下/kg
10ppm以下
5mg以下/kg

高度な毒性
150mg/kg
10100ppm
543mg/kg

やや有毒
 50500mg/kg 
1001000ppm
44340mg/kg

わずかに有毒
0.55g/kg
100010000ppm
0.352.81g/kg

実質的に無害 
515g/kg
 10000100000ppm 
 2.8222.59g/kg 

相対的に無害
15g以上/kg
100000ppm以上
22.6g/kg



マイナスの要因もあるとはPRTRに関する問題です。PRTRでは金属モリブデンおよびその化合物をその対象物としていますが,その論拠はWHOが出した飲料水基準によるものです。その結論の概略は「銅イオンとの相互作用もあるが,大量の摂取は何らかの影響を及ぼす可能性も否定できない。モリブデンは人体必須成分であるが,成人の1日の必要摂取量は0.1mgであるため飲料水1L当たりの含有率を0.07mg以下とすれば悪影響はない。」としたのが規制の始まりです。この規制が一人歩きして0.07mg以上摂取できない劇毒物のようなイメージを持たれるのは残念なことです。
初期摩耗の低減や安全性は古くからいわれたことですが,産業状況の変化に応じて再燃しています。二硫化モリブデンの適用も成熟期に入ったと見るべきかもしれません。

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